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玄関という文化⑥

2024.07.05

おうちのはなし

玄関の使い方

 この気持ちを切りかえる仕切の場所というところから玄関を考えると、さまざまな玄関の作り方や使い方が見えてきます。庭の小径やにじり口の例にあるように、むしろ小さく細くつくることの方が適しているかも知れません。

 少し遠回りさせるようなアプローチも、大事な玄関のデザインとなります。庭木の枝が少し通路にはりだして、避けるように歩くことも洒落の1つです。袖すりの枝と呼べば、客人も主人も意図を深く感じることでしょう。

 また、たとえば玄関には、大きな窓もいらず、少し暗い方が良いかもしれません。まるでトンネルをくぐったときのような効果で、気持ちが切りかわることを期待させます。

 ここまで理解が進めば、外開きの玄関扉も大きな意味を持つことになります。

 外開きの扉は家の中に入る時には、一歩退かなければ開けられません。このたった一歩退くことが、にじり口で頭を下げるのと同じ気持ちにさせてくれます。世俗に汚れた社会の垢を、この退く一歩で振り落として、守るべき家族のいる家の中に入るのです。

 たかが扉一枚の動きの話ですが、玄関扉をそのように使いこなすことができれば、家庭を守ることができます。ただの出入り口と思っていた玄関が、家族の幸せを守るための装置として生まれ変わります。

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