笹倉ブログ 2024.06.30
おうちのはなし 2024.07.05
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2024.07.05
おうちのはなし
日本人ほど普通の家に客間を設けている国はありません。最近でこそ少なくなりましたが、必ず客間の和室があったものです。
日本人が人を迎え入れるための究極の建物が茶室です。この茶室の玄関はどうなっているのでしょうか。
多くの人が知っている有名な話しは、茶室の入り口のにじり口です。誰が訪ねてきても、刀を外し、頭を下げて潜らなければ、茶室に入ることができません。すべての人を平等に扱うための仕掛けです。
でも、もっとよく調べると、さらに奥深い仕掛けが仕組まれています。茶室における玄関は待合ですが、広い意味では、待合からさらに露地を通ってにじり口までが玄関です。
待合で顔合わせをして休んでいる合間に、互いの関係を確認して、あらかじめ席次を決めます。ですから茶室では、客は一人ずつ静かに入って席につくことができます。
茶室に着くまでは、樹木や草花の豊かな庭の小径を通って、自分自身の存在を噛みしめ、気持ちを新しくします。世俗を廃して、本性を露にする場所が露地です。その先にじり口があります。
路地もにじり口も、新しい気持ちになることをテーマとしていて、そこを通る前と後で、気持ちを切りかえることが求められています。まさに玄妙なるところへの関門として、世俗を振り払うのが、玄関の役割であり、結びつきの場所ではありません。