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玄関という文化④

2024.07.05

おうちのはなし

茶室の玄関

 日本人ほど普通の家に客間を設けている国はありません。最近でこそ少なくなりましたが、必ず客間の和室があったものです。

 日本人が人を迎え入れるための究極の建物が茶室です。この茶室の玄関はどうなっているのでしょうか。

 多くの人が知っている有名な話しは、茶室の入り口のにじり口です。誰が訪ねてきても、刀を外し、頭を下げて潜らなければ、茶室に入ることができません。すべての人を平等に扱うための仕掛けです。

 でも、もっとよく調べると、さらに奥深い仕掛けが仕組まれています。茶室における玄関は待合ですが、広い意味では、待合からさらに露地を通ってにじり口までが玄関です。

 待合で顔合わせをして休んでいる合間に、互いの関係を確認して、あらかじめ席次を決めます。ですから茶室では、客は一人ずつ静かに入って席につくことができます。

 茶室に着くまでは、樹木や草花の豊かな庭の小径を通って、自分自身の存在を噛みしめ、気持ちを新しくします。世俗を廃して、本性を露にする場所が露地です。その先にじり口があります。

 路地もにじり口も、新しい気持ちになることをテーマとしていて、そこを通る前と後で、気持ちを切りかえることが求められています。まさに玄妙なるところへの関門として、世俗を振り払うのが、玄関の役割であり、結びつきの場所ではありません。

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