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「おもてなし」の家③

2024.05.16

おうちのはなし

日本人のもてなし感

 東京オリンピックでは、日本人の「お・も・て・な・し」の心が世界中に知らされました。じつは日本の伝統家屋の中にも、それは明確に表されてきました。

「貴族だけでなく一般庶民住宅に、日常と特別の場合の接客空間を用意した家構えは、世界の住文化の中でも特徴的」

 このように書き記したのは、日本の民家研究の第一人者である宮沢智士先生です。『冠婚葬祭への備え」の小文にあります。迎賓館のような、賓客を迎えるために建造されたものではなく、農家や町家などの庶民が暮らす家にも人を迎えることが浸透していたのです。

 その代表格は、和室にある床の間です。欧米の暖炉と比較されることもありますが、扱い方は似ていても、それを使うシーンを想像するとまったく別のものです。床の間は日常の「ケ」よりも、客人や「ハレ」の用途につくられています。

 じつは玄関も同様です。一般的な古民家では、家人は土間や広縁から出入りしていました。これらの部位とは別に分けて、わざわざ玄関をつくり客人用の出入り口としていました。それは門にも通じていて、どれだけの賓客とのつきあいがあるかが、その家の格を表すことにもなっていました。

 さらに数寄屋建築で競うようにして建てられた茶室も、考えてみれば来客のためだけの建築物です。門があり、待合があり、雪隠を案内して茶室に入るまで、禅を通じた接客スタイルに様式として研ぎすまされました。これが和室として近代住宅まで引き継がれています。そして、庭を眺めて最も良い場所につくられます。

 

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