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2024.07.05
おうちのはなし
家の外は、いわゆる社会というパブリックの場です。社会に出れば、いろいろと嫌なこともあり、これらの不浄を家庭の中に持ち込んでは幸せな家庭が危うくなりかねません。
茶室のつくりに教えられることは、「玄妙なるところ」とは、自分の家庭であり自分自身ということです。
しかし、世俗をぬぐい落とすことは思うほど簡単なことでもありません。だからこそ、待合~露地~にじり口と重ねる必要もありました。
門扉をカタリと開けたとき、アプローチにある袖擦りの枝にさらりと触れたとき、玄関扉を一歩退いて開けたとき、すべてが気持ちを切替えるためのきっかけになります。
そして靴を脱いで上がり框に足を掛けたときには、世間の不浄は振り落として家庭の一員として生まれ変わります。
それは今の家でもできることですが、たとえばちょっとだけ玄関周りをリフォームするだけでも、気持ちが変わるかもしれません。
できることであれば、世俗とは一線を引いた、気持ちを切替えた世界を持ちたいものです。なかなか適わないものですが、今住んでいる住まいにも、気持ちの「切替え」ができればその願いを果たすことができます。その装置が玄関です。そして、家を使って人生を豊かにすることができるのです。