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眠りの家学~睡眠で健康になる家~③

2024.05.30

おうちのはなし

人の体内時計は25時間

 睡眠について、いろいろな研究が進んでくると、驚くようなことが分かってきました。たとえば夜勤勤務と乳がんの関連です。フランスの国立保健医学研究所による1232人への調査が、国際がんジャーナルに発表されました。

 それによると、月に4日以上の深夜シフトを長年続けると、3割ほど乳がんになる確率が高まるというのです。さらに6日以上の連続夜勤を続けた人では、8割にまで確率は高まります。

 その他にもノルウェー、デンマーク、カナダなどの各国で、同様の調査が行われています。

 夜勤としているから眠れないというわけでもありません。しかし、睡眠に関わることとがんの発生に、何らかの関わりがありそうです。その多くは人間の体内時計との狂いが原因ではないかと考えられています。

 さらに興味深いのは、人間の体内時計の1日が、25時間としてセットされていることです。たとえば外界から遮断されて、まったく時間が分からない環境に置かれると、毎日1時間ずつ遅れてずれていくのです。

 この体内リズムのことを、「おおよそ1日」のリズムという意味でサーカディアンリズム(概日リズム)といいます。毎日ずれてゆくこのリズムを、私たちは毎日セットし直さなければなりません。

 このリズムのリセットに関わっているホルモンのひとつがメラトニンです。メラトニンは暗くなると体内で分泌されて眠くなるのですが、じつは強い光を感じてからおよそ10数時間後に分泌されるように仕組まれています。つまり朝起きた時に、しっかりと朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、暗くなるとメラトニンが分泌され、眠くなるのです。

 またさらに、眠気のホルモンであるメラトニンに抗がん作用や抗老化作用があることもわかってきました。夜勤をつづけることは、サーカディアンリズムのリセットの機会を失い、抗がん作用が低下していると考えられるのです。心地よく眠れる家は、メラトニンが分泌しやすいように考えられている家ということになります。

 またメラトニンが強い光を受けてセットされるように、日光に当たることによって体内で作られるビタミンDにも、抗がん作用があるとされています。

 暗くなると分泌されるメラトニンを考えれば、明るすぎる寝室ではない方が良いでしょう。横になった時にライトが目に入らないように、間接照明やブラケットライト・スタンドライトを上手く使いこなし、直接光が目に入るような、天井のダウンライトを使うのは避けた方が良いでしょう。

 また逆に、明け方も分からないほどに、暗く閉ざされた寝室も睡眠のためには良くありません。むしろ、朝日が差し込む東向きが、寝室には理想かも知れません。

 かといって、家族全員に東向きの寝室をつくることは難しいことです。寝室のある階に、たとえばバルコニーをつくって窓を大きく取れば、朝日を浴びる空間になります。あるいは、朝食を摂る場所を明るくすることが、心地よく眠れる家のつくり方になるのです。

 

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