日本の木の魅力
日本人が愛してきた木材の多くは針葉樹です。
ナラ、クルミ、マホガニーと硬い広葉樹を選び、塗装して家具を作ってきた西洋の樹種の選び方とは違います。
そして、針葉樹は導管がないことから光の反射率も高く、きれいに仕上げれば光沢が出て白木の肌の美しさを楽しむことができます。
その代表格は、なんといってもヒノキです。
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ヒノキ
樹木としてのヒノキ属には世界に6種あります。
そのうち2種が日本にあり、ヒノキとサワラです。
残りは台湾ヒノキと、北米にある3種です。
その中でも、すっきりと通った木目や、肌合いを決める密度、色と光沢、さらには香りで選べば日本のヒノキにはかないません。
世界遺産の法隆寺もヒノキで建てられ、1400年もの間の強度と美しさを保っています。
また、数々の木像が日本ではヒノキで作られたにも、ヒノキに対する神聖さを感じていたからに違いありません。
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マツ
マツには五葉と二葉があって、主に建材は後者のマツで、山地に生えるアカマツと、海岸に生えるクロマツがあります。
強度があるので、横架材として使われることが多く、中国地方などでは地マツが豊富にあり好まれています。
また荒地にも育つので、「尾根マツ、谷スギ、中ヒノキ」と伝えられ、乾燥して瘦せ地である尾根にはマツは植えられてきました。
カラマツも同様の荒地に最初に生える樹木、つまりパイオニアウッドです。
カラマツが育ってできた日陰に、他の樹々が育つことで森は再生されます。
- スギ
スギもまた日本の固有種であり、日本人に大切にされてきた樹々のひとつです。
学術名はクリプトメリア・ヤポニカといい、日本という名がつけられている日本固有の一属一種の樹木です。
天井板や建具など、さまざまな部位で建材として使われています。
桂離宮上皇をお迎えするために作られた新書院では、長押にわざわざ節ありのスギ材が使われています。
食器や身近な材としても使われると同時に、建材としての高級さでは、ヒノキをはるかに凌ぐ材になりました。
