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おうちのはなし 2023.09.10
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2023.09.10
おうちのはなし
まず、鉄の棒と木の棒を叩き合わせたらどうなるのか想像してみてください。誰もが木の棒が傷つき、下手をすれば折れてしまうと考えるでしょう。そして、おそらく鉄は無傷です。このようなイメージから、鉄の方が木よりも強いと考える人が多いと思います。それは当然のことです。
では、3匹の子ブタの家で考えたのと同じように、鉄と木のそれぞれの重さを考慮に入れた強度を考えるとどうでしょうか。
このことを理解するために、3匹の子豚に変わって、次に登場してもらうのはピノッキオです。丸太からつくられた木の人形の物語は知られています。ちょっと不真面目なピノッキオはよく嘘をつきます。そして噓をつく度に、鼻がズンズンと伸びてゆきます。
ピノッキオの「ピノ」とはイタリア語の「松」という意味です。そこで比較するために、「鉄」を表すフェロッキオという鉄の人形にも登場してもらいましょう。
ピノッキオとフェロッキオには、それぞれ寝ころんで顔を上に向けて嘘をつき続けてもらいましょう。ズンズンと鼻が伸びてゆくと、それだけ鼻は重たくなります。やがて、自分の鼻の重さに耐えられなくなって根元のところで押しつぶされてしまいます。圧縮強度の限界に達する重さになるほど、鼻が長く伸びたのです。
次に2人には顔を下に向けて嘘をつき続けてもらいましょう。やはり同じように、自分の鼻の重さに耐えられなくなってちぎれてしまう瞬間がきます。引張強度の限界となる長さになったのです。
もちろん、同じペースで鼻が長くなっていることが前提です。では、どのような順序で、ピノッキオとフェロッキオの鼻は限界に達するのでしょうか。それがちょうど、鉄と木の重さに対する強度の比較になります。
最初は、上を向いたフェロッキオの鼻が曲がります。計算上ではフェロッキオの鼻は、およそ450mまで伸びて、根元の圧縮強度が重さに耐えられなくなったのです。
次に限界に達するのも、フェロッキオです。下を向いた鼻は、およそ500mでちぎれることになります。
一方、ピノッキオの方も、やはり上を向いた方から鼻がつぶれます。それでも鼻の長さは950mにも達しています。木材の重さに対する圧縮強度は、鉄の2倍もの強さということです。
驚くのは、下を向いたピノッキオでその後もずっと嘘をつき続けます。鼻の長さは、なんと2200mをこえてからようやくちぎれます。
ピノッキオとフェロッキオの鼻では、ピノッキオの方がずっと強いのです。つまり重さに対する強度では、計算上では木の方が鉄よりも強いということです。ちょっとイメージが変わるのではないでしょうか。