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おうちのはなし 2023.10.19
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2023.09.24
おうちのはなし
インテリアデザインは、アメリカでも流行があります。近年になって評価が高いのは、歴史を感じさせるデザインです。それはサスティナブルデザインと呼ばれています。環境時代になって、サスティナビリティという言葉が、良く聞かれるようになりました。
この言葉がアメリカでは、デザインのコンセプトにも使われています。たとえばインテリアデザインに古材を使い、まるで遠い昔に建てられたデザインのように見せます。このような古民家風の家に住むことが、地球環境が問題になっている時代にふさわしいライフスタイルと考えられているのでしょう。
技術が好きな日本人の感覚からすると、現実の環境に貢献するものではなく、形だけ整えているように感じてしまうかもしれません。
でも、日本の茶の湯や数寄屋で生み出されてきた「詫び寂び」と似ているようにも思えます。技術的なサスティナビリティを検証するよりも、詫び寂びに魅力を感じることは、いわば文化的なサスティナビリティです。そして、技を磨いた大工や職人の手による住宅の価値の高さが理解できるようになります。
日本文化の古典である兼好法師が書いた『徒然草』にも、第十段に同様のことが記されています。技巧を凝らして、唐様や都会的な珍品や貴重品を集めて飾っても、見る目も苦しく、いとわびしというのです。そして流行が過ぎれば、燃え尽きてなくなると手厳しい書き様です。
そのように考えると、合理化されているプレハブの住宅が、現実には価値が高いということに大きな疑問が残ります。
そして、同じ『徒然草』第十段では、次のように書かれています。「家居にこそことざまは推しはからるれ」たとえ同じ家に暮らしていても、住まい手によって家のデザインは変わります。家の姿を見れば、その家にどのような住まい手が住んでいるのか、推して知ることができるということです。家は竣工したした時は不完成で、住まい手が生活を重ねてデザインすることで、完成してゆくものです。