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2024.01.19
おうちのはなし
木材には心材と辺材があります。木材の断面にある年輪を見てください。それだけでも、木材のことがよくわかります。
文字通り中心部に近いところが心材で樹皮に近いところが辺材です。多くの樹木は心材に赤みを帯び、辺材は白っぽくなっています。ですから心材や辺材は、赤身や白太とも呼ばれます。樹木は毎年、年輪を重ねて大きくなりますが、樹皮のすぐ裏の辺材部分で生長しています。当然、心材の赤身は昔生長した部分ということです。この赤身の部分、じつは樹木は生命活動を停止させています。というのも、活動を維持しようと思えば、それなりに水分や栄養素など、生存のための維持が必要になるからです。大きく育つ樹木にとっては、それは大変なエネルギーになってしまうのです。
でも生物は生命活動を停止させると、朽ちてしまいます。そうならないように、心材部分には安定した物質を生成するのです。その代表がリグニンという物質で赤身の色となります。このリグニンのおかげで、土中から腐らずに発掘されるほど木材は丈夫なものになります。
じつはこのリグニンの化学式を分析するとダイオキシンと似ています。人間が生み出すダイオキシンは猛毒ですが、自然が生み出すリグニンは無害です。どちらも分解しにくい物質で、一部のバクテリアしか分解できません。
このように、樹木は自ら死ぬという生存戦略をとっている生物です。よく、木は生きているという人もいますが、それは調湿などの呼吸をしていることを指しています。無機質材の土塗り壁や珪藻土の壁が、生きているといわれるのと同様です。
木が赤身の部分で死を選ぶことによって獲得している心材耐朽性には、このような樹木の生存戦略が背景にあります。