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生活をDesignする①

2023.09.24

おうちのはなし

同じ空間でも、家族の暮らし方によってまったく違う家に見えるものです。そして、暮らしているその空間を眺めると住む人の雰囲気やセンスの違いを感じます。決して、家が主人公であるはずもなく、そこに暮らす人が主人公であり、家のデザインを決めるのも、その家での暮らし方であるはずです。あらためて家のデザインとは何かを考えてみましょう。

●生活感のない家

 メーカー住宅の立派なカタログを見ていて、ちょっと違和感を感じることはありませんか。

 確かにきれいで理想的な生活が描かれていますが、どこか自分の生活とは違うと感じている人も多いのではないでしょうか。

 では、建築家がデザインした家はどうでしょうか。建築家の数ほどバリエーションがあって洗練されていますが、どこか似ている感があります。

 雑誌などで紹介される家は、住む前の完成したばかりの写真で、いかにもデザインされた空間のように見えます。生活を育む家というよりも、建築空間としてのデザインが優先され、写真で撮った瞬間が、最もデザインが良い瞬間となっています。

 多くのこうした写真の中では、生活していれば必然的に増えてくる、様々なものが省かれています。つまり、生活している瞬間が切り取られているわけではないのです。

 近年では、ミニマリストという、なにも持たないライフスタイルの人が取り上げられることもあります。ミニマリストの家には、生活感はまったくありません。彼らの口からは、物欲をはじめとするストレスから解放された喜びを聞きます。

 しかし、家にあるもの中には、自分が必要として揃えているものの他に、思い出の品や、他人からいただいたものもあります。これらをすべて処分し、常に表に出さない暮らし方をしなければ維持できない空間というのに、逆に大きなストレスを感じる人も多いのではないでしょうか。

 生活感がないデザインには、もう1つの共通点があります。揃えてある物が、なんとなく短期間にコーディネートして揃えたかのように感じるのです。

 現実の生活の中では、その時その時の必要に合わせて、少しずつ物を買い増していきながら生活空間は完成してゆくものです。そして、生活をしているということは、たくさんの足跡を残すことでもあります。それだけにトータルでコーディネートを考えていても簡単ではありません。

 必要を感じて、その都度手に入れることで、少しずつコーディネートが崩れたものが混じってゆくのも当然のことです。どんなにトータルコーディネートを追求した家でも、生活の歴史が組み込まれてくると、画一感も薄まってきます。

 つまり、生活感がない写真には、時間の経過や生活の歴史が感じられないということでもあります。

 家のデザインの良し悪しが、キレイに見えるだけで良いのなら、カタログや建築雑誌に載っている写真で良いでしょう。しかし、家よりも住む人や生活が主人公であれば、生活の実感がにじみ出て、なおかつ素敵に見える家が本当にデザインの良い家になります。

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