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命を守る家③

2023.09.17

おうちのはなし

●ヒートショックの怪

このような事故で思い浮かべるのは、ヒートショックで、年間1万人以上の人がなくなっているという情報です。地方独立行政法人東京健康長寿医療センター研究所と日本全消防本部による推計値として発表されていますが、明確なデータが取られていないことは、発表資料にもあらかじめ断られています。

 発表されている当初の、14,000人からさらに増えて、19,000人と書かれていることもあります。省エネ住宅や断熱性をアピールしようとする企業が広められているようですが、人口動態統計による裏付けはありません。

 そもそも、過去に比べて格段に高断熱住宅が普及し始めている時代に、ヒートショックによる死亡者が増えているとすれば、断熱住宅との関連性が無いことになってしまいます。

 寒暖差のある浴室に行って意識を失い、浴槽の中で溺れることも十分に考えられることですが、高齢者の家庭内溺死者のほぼ全数を数えたとしても5千人であり、同様に寒い廊下に出て意識を失いつまづいた人を無理に加えても6千人が限度です。不慮の事故だけではなく、高血圧などの持病を持っている人などの数を推計に加えないと足りません。

 断熱材や冷暖房の普及に向けて話しするのには恰好のデータですが、数字だけが独り歩きしては、いたずらな不安を煽ることになりかねません。

 さらに、人口動態統計では浴室ではなく浴槽内の溺死であり、どうやら日本に固有の事故となっている傾向もあります。

 しかし、露天風呂など明らかに寒暖差のある公衆浴場での発生数は少なく、地方より東京などの都市部に多いことも、ヒートショックとの連動性は薄く、家の断熱性能や冷暖房ではない別の関連要素がありそうです。

 現実に、似たような状況になって救急車で運ばれたものの命をとりとめた方々の症例では、心電図や頭部CT検査で脳や心臓の異常は見られず、血圧も正常値の範囲内という調査報告もあります。一方、意識障害と関連しているのは深部体温であり、ヒートショックではなく、いわゆる「熱中症」の症例に近いものです。

 熱い湯に長く浸かることによって血管が膨張し、血液が脳に回らなくなることで、熱中症で意識が失われることがあるのと同じ発症を起こしているのです。家の性能的な要因よりも、熱い湯に長く入らないような習慣を身につけることが大事です。

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