笹倉ブログ 2024.05.20
おうちのはなし 2023.11.04
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2023.11.04
おうちのはなし
では、もしビバリーヒルズにマンションが建てばどうなるでしょうか。もちろん同じマルチファミリー用住宅であるアパートでも同じです。
本来はそれなりの資産があり限られた人が住む街であったのに、考え方の違う新しい居住者が移り住んで来ることになります。街を歩く人たちの風景も変わり、昔から住んでいた居住者のコミュニティも崩れ始めるでしょう。ビバリーヒルズに住むことは高嶺の花で、とても住めないと考えていた人たちが、住めるようになるのですから当然のことです。
そればかりか、じつは不動産の経済的な側面でも変化が表れます。
同じ街の面積に対して、人口が高まることで収益性が上がります。これまでは街並と住人という文化的な価値で資産価値が保たれて向上していた街が、収益還元の面で評価されるようになります。アパートなどの賃貸住宅も、住みたがる人が多ければ利回りが高くなって競って建てられるようになります。
こうして閑静な住宅地は、雑多な人が暮らす街へと変わり、昔から住んでいる戸建ての居住者にとっては住みにくい街になります。
影響はそれだけでは止まりません。収益還元で判断されると、まるで近隣商業地のような扱いになります。このことにより土地の評価が上がり、路線価も上がることで相続税も上がります。中には相続税に滞る人が出てきて、土地の割譲を考える人も出てきてます。
あるいは一括で処分をしようとしても、一般住宅では販売価格も高くなるので、マンションデベロッパーや土地活用と称した賃貸住宅会社が買うことになります。あるいは、ミニ開発の家が建って販売されるようになると、街の文化はさらに崩れてゆきます。
欧米では住宅地の明確な用途が定められていますが、そのような都市計画がない日本では、こうした集合住宅によって街が崩れてゆくのです。