笹倉ブログ 2024.05.20
おうちのはなし 2023.12.01
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2023.12.01
おうちのはなし
ダイニングといえば食事をする場所。ダイニングテーブルが置けるだけのスペースがあれば良いと考えている人もいるかと思います。でも、家の機能としての基本が、寝ることと食事をすることだと思えば、とても大切な役割を担っている場所であるはずです。あなたならダイニングを、どのように作りますか?
新しい家を考えるとしたら、その家の中心をどの部屋にしますか?
もしくは、今の家で、家族の中心となるのは、どの部屋でしょうか?
そのように問われたら、多くの人はリビングと答えるでしょう。家の一番良い場所にリビングがあり、家族が集まる中心の部屋として作られています。
現実に、住宅のカタログや建設事例を見れば、メインとして扱われているビジュアルはリビングがほとんどです。その家の住まい手のセンスも、憧れの生活も、リビングの写真の中に表現されています。
その片隅に食卓や厨房セットが見えて、キッチンやダイニングがあることがわかります。キッチンには収納を含めて機能性が語られますが、ダイニングにはカップや小皿などの室礼があれば、それで良いと思われているようです。ダイニングはあれば良いという、空間なのでしょうか。
一方、さまざまなドラマなどのシーンを見ているとちょっと違います。家族が揃って会話をしているシーンの多くは、ダイニングです。よく見かけるシーンは、ひとつの大きいなテーブルを家族で囲んで、物語の展開を左右する会話が語られます。リビングに家族が集まっているシーンでは、執事や使用人のいるようなリッチな家庭のシチュエーション設定に感じます。
ドラマのシーンは、視聴者への共感を大切にしています。その意味では、家族はダイニングで過ごしているのが現実の生活に近いということです。
1年以内に戸建て住宅を新築した500家庭の、具体的な暮らしぶりを調査した『生活のありよう調査』には、このことを裏付けるデータがあります。ダイニングやキッチンにおける生活習慣で夕食後もダイニングテーブルで過ごしている家庭の方が多いのです。
家族が最も集まる瞬間は、食事の時です。そして食事の後も、ダイニングから離れていません。それは、ダイニングこそ、家族の集まる場所だということです。
ただ最近の家では、リビングとダイニングは一体で、LDとしてひとつの空間で作られているケースがほとんどです。その意味では、リビングとダイニングを明確に分けて使いこなしているとも思えません。同調査でも、実際に明確に使い分けている家庭は、3分の1しかいません。
またリビングに必要とされるソファセットなどの家具を揃えていない家庭は3分の1あります。それに対して、ダイニングテーブルの無い家庭はまずありません。これらのことから実際の生活を考えると、じつは家族が集まるための空間としては、リビング以上にダイニングの方が大事な空間なのかもしれません。
でも、この裏側には、どうやら日本人と西洋人の生活文化の違いがありそうです。