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匂いの美学⑥

2023.12.22

おうちのはなし

・香りが未来を創る

 日本人は、古来より木の家を好んできました。しかも、いたずらに塗装を重ねず、木そのものの肌合いを大切にしてきました。

 また、職人さんの技によって削られることで、木の持つ艶の美しさが活かされてもいました。さらには手をかけて磨かれることで、色が深みを増し、新しい艶が生まれます。それはとりもなおさず、木の匂いがする家です。

 本格的な木造りの家ではなくても、部分的に無垢の木材を使うことで、木の匂いのする家にすることもできます。メンテナンスなど、多少の手間がかかりますが、木の匂い含まれた不思議な力は、捨てがたいものです。

 マンション暮らししか経験したことのない高校生が、木の匂いのする家に入った時に「懐かしい匂いがする」という印象を語りました。木の家はまるで日本人の遺伝子に組み込まれている記憶のように感じます。

 逆にその意味では、これから育つ子どもやお孫さんを抱えた家庭では、新しい家の香りの経験を重ねることはとても大切なことです。その木の匂いを嗅ぐたびに、親との触れ合いや感じたことを思い出すことでしょう。

 たとえば育ってきた実家の風景を思い出す匂いはありませんか。記憶を掘り起こすよりも先に、匂いを思い出すと頭の中に情景が広がってきます。今の家に育ち、大人になってゆく子どもたちのためにも、実家の記憶となる匂いの設計も忘れないでおいて欲しいことです。

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